光触媒二酸化チタンの、もう一方の主役、光についてお話をしたいと思います。
二酸化チタンが光触媒としてはたらくには、紫外線が必要です。紫外線とは、太陽光や室内の蛍光灯に含まれている光で、特別なエネルギーを必要とせず、一般的な生活空間に元々存在しているクリーンなエネルギーです。
藤嶋教授が二酸化チタンの光触媒実験を行ったのは、ルチル型という結晶構造の二酸化チタンでしたが、現在は光触媒としての働きがより効率の良いアナターゼ型が主流になっています。二酸化チタンはn型半導体に属し、電子によって電気を通すタイプの半導体です。二酸化チタンに、あるエネルギー以上の紫外線があたると、二酸化チタンを構成している価電帯電子が励起して、上のレベルの伝導帯の電子になります。この状態が、半導体の光励起状態です。価電子帯と伝導帯のエネルギーの差を、バンドギャップエネルギーといいます。アナターゼ型の、二酸化チタンのバンドギャップは3.2eVです。
光のエネルギー(eV)=プランクの定数×光の速度÷波長(nm)=1240÷波長(nm)
上の式で光の波長に換算すると、387.5nmという数値が求められます。 アナターゼ型の二酸化チタンを光励起させるには、約388nmの波長の紫外線が必要ということです。電子が伝導帯に光励起されると、価電子帯には電子の抜けた穴ができます。この穴を正孔(ホール)といい、抜けた電子と正孔が光触媒反応を起こすことになります。 |